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アジア舌側矯正歯科学会(ALOM)に参加してきました

-舌側矯正(裏側矯正)の最新知見と臨床への学び-

先日、福岡で開催された「アジア舌側矯正歯科学会(ALOM)」に参加してきました。
舌側矯正(裏側矯正/リンガル矯正)の専門家がアジアを中心に世界中から集まる国際学会で、
最新の治療技術やデジタル矯正の進歩について多くの学びを得ることができました。

学会に参加すると、矯正歯科という分野がどれほど奥深く、そして終わりのない探究の世界なのかをあらためて感じます。
日々の診療で積み重ねてきたものがありながら、最新の研究や症例に触れると、「もっと良くできる」「より患者さまに負担の少ない治療ができるはず」と、自然と前向きな気持ちがわいてきます。

今回も、多くの刺激と学びにあふれた時間でした。
その様子を、私なりの言葉でまとめてみたいと思います。

アジア舌側矯正歯科学会に参加しました@福岡

舌側矯正に特化した国際学会 ALOM とは?

舌側矯正は歯の裏側に装置をつける方法で、「見えない矯正」として人気があります。
ただ、その見えない場所で力をコントロールして歯を動かすためには、
高度な診断力・精密な装置設計・細かな調整技術
が求められます。

ALOM では、最新の舌側矯正の知見、デジタル技術、臨床応用、メカニクスの進歩など、非常に専門性の高い講演が多数行われます。

普段から舌側矯正に積極的に取り組む先生方が全国・世界から集まるため、非常に密度の高い学びの時間になります。


同期の活躍を間近で見て、胸が熱くなった瞬間

今回の学会で、私にとって一番大きな喜びだったのは、大学病院の医局時代の同期が登壇していたことです。

医局にいた頃から熱心に取り組んでいた研究をさらに深め、堂々と学会で発表している姿はとても頼もしく、胸が熱くなりました。

さらに、その発表内容について、舌側矯正を専門にされている著名な先生方から
「非常に興味深い視点だ」
「臨床への応用が素晴らしい」
などと高い評価が寄せられていて、私まで誇らしい気持ちになりました。

医局で一緒に悩み、支え合い、切磋琢磨してきた仲間の成長を見られることは、何より嬉しいことです。
あの頃の学びや経験が、今も私たちの中に生き続けていると実感できた瞬間でした。

同期の小牧博也先生の講演。AJO掲載内容。

舌側矯正とデジタル技術の進歩

今回の学会では、デジタル技術に関する講演がとても多く、
舌側矯正の未来を大きく感じる内容ばかりでした。

・3Dデジタルセットアップの精度向上
・フェイシャルスキャナー用いた歯の移動、顔貌の変化予測
・解剖学的観点からの注意点
・患者さまの違和感軽減を目指した装置設計

舌側矯正は、歯の裏側という限られたスペースで精密に力をコントロールするため、デジタル技術の活用は欠かせません。

「より正確に」「より快適に」「より美しく」
そうした治療の実現に向けて、デジタル技術は確実に大きな役割を果たしてくれています。


舌側矯正(裏側矯正)のメカニクスは表側矯正と大きく違う

症例展示では、国内外の先生方が手掛けた美しい症例が数多く並んでいました。
仕上がりの咬合(噛み合わせ)や口元のバランス、舌側装置との調和など、細部にわたるこだわりが見える症例ばかりでした。

ここであらためて感じたのが、
舌側矯正は表側(ラビアル)矯正とはメカニクスが少々異なるということです。

裏側から力を加えるため、
・歯の動き方(力のかかり方)
・回転方向
・ワイヤーの屈曲
・補助装置の使い方
などが大きく変わってきます。

力の伝達の仕方が違うからこそ、メカニクスの理解と、技術の習熟が不可欠
そして、何より大切なのが、
最終的な噛み合わせをどのように設計するか=セットアップの質です。


セットアップの重要性と、歯科技工士さんの専門性

今回の学会では、歯科技工士さんによる講演もありました。
舌側矯正のセットアップは、歯科技工士さんの高度な技術が欠かせません。
デジタル矯正の進歩により、より精密なリンガル矯正の設計が可能になり、
裏側矯正を成功させるための重要な工程になっています。

患者さま一人ひとりに合わせて、
・歯軸の角度
・最終的な咬合接触
・ワイヤーが働く方向
・装置の厚みや位置
などを細かく調整し、理想の仕上がりに近づける作業は、まさに「職人技」です。

歯科医師と歯科技工士が綿密にコミュニケーションを取りながら進めることで、
初めて精度の高い舌側矯正が実現します。

「こういう形に仕上げたい」という私たちの意図を正確に伝え、
技工士さんの技術と組み合わせることで、
美しい治療結果につながっていくのだと深く感じました。

舌側矯正は、“チーム医療”の象徴のような治療だと改めて実感しました。

口蓋に装着する装置。istationや歯科矯正用アンカースクリューを組み合わせて効果的に歯を動かすための装置。

舌側矯正をより効率的に進めるための装置の併用

裏側のワイヤーだけでなく、
上顎の裏側(口蓋骨)に補助的な装置を併用することで、 より効果的に歯を動かせるという点についても、多くの講演で触れられていました。

舌側装置の力だけでは難しい移動も、
口蓋側の補助装置を使うことで効率的に行えるため、
複雑な症例にも対応しやすくなります。

舌側矯正はメカニクスが非常に繊細な分、
こうした複合的な装置設計を駆使しながら進める必要があります。

「見えない矯正」でありながら、美しさと機能性を両立させるためには、
やはり細やかな調整と計画力が不可欠だと感じました。


ガラパーティで広がる繋がりと今後の展望

学会後のガラパーティでは、普段お世話になっている先生方や、
大学病院時代にご指導いただいた先生、
著名な矯正医の先生方とも直接お話しする機会がありました。

日々の臨床での工夫や、最新の技術、医院の運営、後進の指導方針まで、
さまざまな視点の話が聞けて、とても貴重な時間でした。

懐かしい再会があり、刺激的な出会いもあり、
「これからもっと頑張りたい」と自然に思える、前向きな気持ちになりました。

舌側矯正にメインで取り組んでいる先生は全国的にそこまで多くはなく、
だからこそ、この分野を深めることで多くの患者さまのニーズに応えられると強く感じました。

同門の先生たちと。医局時代と変わらず、助け合え、切磋琢磨し合える大切な仲間。

これからの診療に活かしたいこと

今回の学会で学んだことは、すべて今後の診療に直結します。

・デジタルセットアップの精度向上
・患者さまの違和感軽減の工夫
・症例ごとの細やかな力の設計
・咬合の長期安定性の追求
・補助装置を含めたメカニクスの最適化
・技工士さんとの連携強化

こうした一つひとつの改善の積み重ねが、結果として大きな差につながります。

舌側矯正(裏側矯正)は難易度が高い分、
患者さまのニーズに合った美しい仕上がりを実現できる、魅力のある治療法です。
岡山で舌側矯正をご検討の方には、しっかりとした診断とセットアップを大切にする当院で、
安心して治療を受けていただければと思います。


最後に — 学び続けることの大切さ(大変さ)

振り返ってみると、大学病院で過ごした日々、
指導医の先生方からいただいた教え、
同期と議論を重ねてきた経験、
そして開業後も続けている学会・セミナーでの学びが、
今の私の診療スタイルを少しずつ形づくっています。

矯正治療は長い期間にわたって患者さまに寄り添う治療です。
だからこそ、診療の一つひとつを丁寧に、誠実に。
そして常に新しい知識を取り入れながら、より良い治療を届けられるように成長し続けたいと思います。

今回のALOMで得たたくさんの気づきと出会いを胸に、
これからも舌側矯正の可能性を広げながら、
皆さまの笑顔につながる治療を目指して進んでいきます。

同門の先生方と、お世話になった濱中遼先生御一家と。

📍岡山A.you矯正歯科(岡山市北区)

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【岡山A.you矯正歯科】 谷本あゆ子(日本矯正歯科学会認定医・歯学博士)